「つわりがつらい、助けて」という妊娠初期の妊婦さん、多いのではないでしょうか。
つわりは、妊娠中の方の50〜80%に症状があらわれます。
つわりは、いつまで続くの? つわりの対策、緩和する方法はない? つわりの相談で病院を受診してもいいの?
長年、産婦人科病院で看護師として働いた著者が、つわりについて解説し、プレママの悩みにお答えします。
つわりについて
いつから、いつまで?
早い方なら妊娠4、5週から症状が出始め、ピークは8週〜10週です。
16週までには、多くの方の症状が落ち着いてきます。
どうして起こるの?
はっきりとした原因は、まだわかっていません。
- ホルモン説・・・妊娠ホルモンであるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)や、女性ホルモンであるエストロゲン・プロゲステロンが関わっている
- 代謝の変化説・・・ビタミンの不足などで代謝や血糖値に変化が起きている
つわりを悪化させるのは、心理的・身体的なストレスや疲労だということがわかっています。
つわりのタイプ
- 吐きづわり・・・吐き気で食べられない・食べても吐いてしまう・吐きはしないけれど、えずく
- 食べづわり・・・空腹になると吐き気がする
- においづわり・・・特定の匂いを嗅ぐと吐き気がする
- 眠りづわり・・・とにかく1日中眠い
- よだれづわり・・よだれの量が多く、常に出さなければならない
つわりのタイプをあげましたが、2〜3タイプをあわせ持つ方もいます。
また、つわりの感じ方や程度にはとても個人差があり、1回1回の妊娠でも違うこともあります。
つわりのタイプ別に対策、緩和する方法
■吐きづわり
①食べられる物を、②少量ずつ、③食べたい時に食べる。
①食べられる物
個人差はありますが、下記のものをオススメします
梅・柑橘系味のもの・・・アメ、グミ、梅干し、カリカリ梅、梅茶漬け、100%レモン果汁など
野菜・果物・・・トマト、きゅうり、レモン、グレープフルーツ、スイカなど
②少量ずつ
1回に食べる量は、少ないほうがいいです。量が多いことが吐き気を誘発することもあります。
③食べたい時に
「食べられそうだけど、時間がないから後で食べよう」「朝ご飯の時間だから、食べたくないけど食べなきゃ」
つわりの時期は、食べたいと思った時を逃さないことが最大のポイントです。
また、食べたくないのに無理に食べようとすると、吐き気を誘発することもあります。
ヒント
・いろいろな種類の食べ物を用意してみる
・外出先にも持っていってみる
・栄養のバランス、食事量は考えないようにする→それがストレスになり、つわりを悪化させることもあります。
・生姜やビタミンB₁・B₆は、症状の軽減に効果があるといわれています。
重要なポイント
食べられなくても、水分・ミネラルを取ることはとても大切です。つわりの悪化を防ぐこともできます。
・水分を少量ずつでも、こまめに取るように
・水筒やペットボトルをいつも携帯することをオススメ
・氷、炭酸水などで水分をとってみる
・経口補水液もオススメ→いくつかの飲料メーカーが発売しています。お好みのものを探してみてください
■食べづわり
空腹にならないように、食事と食事の間に間食をとることが一番の対策です。
重要なポイント
体重増加に気をつけて!
妊娠初期に体重を稼いでしまうと、後半がキツくなってしまいます。
妊娠中の過度な体重増加は、トラブル(妊娠高血圧症候群などの病気、難産など)につながるかもしれません。
食事量、間食の量、カロリーを考えて、取ってみてください。
妊娠中は体重増加の範囲が決められています
妊娠していない時のBMIによって、体重増加の範囲が違うので、下記を参考にしてください。
BMIの計算式:BMI=体重(Kg)÷(身長(m)×身長(m))
妊娠前体格 | BMI( Kg/m²) | 体重増加量指導の目安 |
低体重 | <18.5 | 12〜15Kg |
普通体重 | 18.5≦〜<25 | 10〜13Kg |
肥満(1度) | 25≦〜<30 | 7〜10Kg |
肥満(2度以上) | 30≦ | 個別対応(上限5Kgまでが目安) |
出典:日本産婦人科学会 妊娠中の体重増加指導の目安について (R3.3.8)
■においづわり
吐き気を誘発する特定のに匂いを避けるようにします。
- マスク・ハンカチを活用する
- 他のに匂いを活用する・・・アロマオイルなどを使う(柑橘系がオススメ)
- 柔軟剤の香りや香水がだめな時・・・無香料に変更する、使用を中止する
- 冷めたものを食べる・・・温かいものよりも匂いがしない
■眠りづわり
日中、仮眠や休憩をとれる環境づくりを。
眠気をガマンすることがストレスになり、つわりを悪化させることもあります。
夜間の睡眠も十分とり、リズムをくずさないようにすることも、対策のひとつです。
■よだれづわり
つねによだれが出てもいいように、ビニール袋とティッシュを携帯することをオススメします。
また、うがいで口腔内をサッパリさせるために、洗口液を活用してもいいです。
こんな時は病院に相談、5つの症状
- 水分を取っても、ほとんど吐いてしまう・水分が取れない
- 尿の量が少ない、色が濃い、回数が減った
- 体重が5%(50kgの方なら2.5Kg)減った
- 頭痛、めまいがする
- 口腔内が乾燥する、皮膚をつまんで離すと元に戻るまで3秒以上かかる
上記の症状がある場合は、すぐに病院に相談しましょう。
つわりは、悪化すると入院が必要になったり、命に関わる状態になることもあります。
「つわりで受診したら怒られないかな」「こんなことで病院に行ってもいいのかな」「もう少しがまんしよう」と受診をためらってしまう方もいると思います。
早めに病院に相談することが大切です。
まとめ
つわりは、多くの妊婦さんが経験します。我慢しすぎることは、かえってストレスとなり、つわりの悪化につながることもあります。
今回紹介した対策を参考にしていただき、つわりの時期をなんとか上手に乗り切ってください。
大丈夫、必ずつわりは治まってきます。